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2009/08/13

のりちゃん…

旅行中、台風情報と同じくらい心配だったのが……のりちゃんのことでした。
「酒井容疑者」と呼ばなくてはいけないのでしょうが、「のりちゃん」と呼ばせていただきます。



のりちゃんと初めて会ったのは、1991年、旧・東京宝塚劇場での『喜劇 雪之丞変化』という、三木のり平さん演出・主演の和物の芝居での共演でした。
これが、のりちゃんにとって初舞台。

お誕生日が2月14日の彼女。ちょうど「20歳のバレンタイン」(たぶん…)という歌を歌っていた時期でした。そして公演中に20歳のお誕生日を迎えました。

緞帳が下りた後、衣装のまま舞台上に出演者は残り、用意した大きなバースデーケーキを前に、ハッピ~バ~スデ~を歌い…
そうしたらのりちゃん、ボロボロと泣き始め…

そんなに泣かなくても…と思うほど泣くのりちゃんを見て、それは「うれしい!」だけの涙ではないな…と感じました。

初めての舞台。テレビと違って慣れないことばかりで、かなり緊張していたと思います。
また、白塗りの化粧をはじめ自分でやらなくてはならないことばかり。舞台稽古から初日開いて数日間は、共演者の女の子がお化粧してあげていたけれど、ある時から自分で。慣れないから狸ちゃんみたいな化粧になっていましたね…

初舞台ののりちゃんを、のり平さんはじめ、出演者&スタッフ全員、温かくフレンドリーに接しました。
だけど薄くバリアを張っているような感覚を感じていました。笑っていても、心からの笑顔なのかどうかわからない…ような。舞台に立つのは嫌だったのかも…と思ったり、“私は人気アイドルなのよ”という意識が強いのかな?と思ったり…。

多過ぎる涙は、その諸々、不安や緊張がほぐれたからだわ…と、可愛く泣きじゃくるのりちゃんを見て思ったものです。



約1年後、宮本亜門さん演出・大地真央さん主演の『サウンド・オブ・ミュージック』の稽古場で、再びのりちゃんに会いました。
のりちゃん、舞台出演2作目。そして初ミュージカル。

和物の喜劇とミュージカル。全く違う作品での再会は、のりちゃんと、びー様(尾藤イサオさん)と私の3名だけで、お互い偶然に驚いたものでした。

のりちゃんは長女のリーズル役。ここでの彼女の凄い頑張りを忘れません。

中村繁之君演じるロルフとの有名な長~いナンバー。このダンスの振りがとんでもなくって…
振り付けはもちろん亜門さんなのですが、“足を床に着ける間もなく5連発!”ぐらいなリフトを入れたのです。
繁ちゃんはジャニーズだけど、歌振りぐらいしか踊れないのりちゃんに、ダンスがものすごく上手い人でも無理だよ~と思うくらいの凄いリフト。

見ていて可哀想なくらい、出来ないのです。何日経っても。
ダンスリーダーのKちゃんが二人に付きっ切りで、毎日稽古の始まる前に自主練習をするのですが、少しずつは進歩しても、まだまだ…

「この状況を見て亜門さんは振りを変えるだろう…」「お願い…もう少し簡単なのに変えてあげて…」と思ったものですが、さすが亜門さん。変えない。信じていたのでしょうね。

5連発リフトが出来たのは、稽古場最終日…宝塚でいうところの本通しの日でした。
毎日息を殺して見守っていた出演者一同、立ち上がって大喝采しました。

その後本番が始まり、女性大部屋楽屋では毎公演、二人のダンスシーンになると、着替えながら化粧を直しながらモニターを見て「繁ちゃん!」「のりちゃん!」「がんばれ~!」と声援していました。
リフトの高さや早さやタイミングに少々難はあっても「失敗」という回は1度もなく。モニターでもあきらかにわかるほど、踊りながら繁ちゃんは足を捻ってしまった回もありましたが、のりちゃんを落とすことはなく。
本当に凄く頑張った2人でした。

毎日かなりのプレッシャーだったでしょうが、舞台も2度目だからか、のりちゃんも自然体になったようで…。
毎朝の希望者のみのストレッチにも1番後ろで参加したり、腕に手を回してきて甘えたりして、猫のように可愛い可愛いのりちゃんでした。

舞台袖で、楽屋で、パーティーで、のりちゃんと撮った写真は何枚も。この頃に戻れたら…。



そう。猫のようで、つかみ所がなくって、心にバリアを張ることがあって……。
でも彼女は強さを持っている人だと私は思っています。
「覚醒剤に手を出す人は弱い人だ」「芸能人は浮き沈みが激しいから、その不安から…」と言いますが、彼女は強いはず。滅茶苦茶強いはず。
だからこそ好奇心からだった…と思ってしまいます。



昔「人間やめますか?それとも覚醒剤やめますか?」というCMを見たとき、どれほど驚いたことか…
覚醒剤に手を出す人は、遠い世界の一部の人だと思っていたのに、こうしてテレビCMで一般人に訴えるほど蔓延している…という事実に。
それは今も変わらず、人から憧れられるべきはずの芸能人にも絶えません。

だけど芸能界という世界は、甘いというか温かいというか…。受け入れる器があります。
“罪を犯しても、人はやり直すことができる”…。それは大切なことだし、そのための信頼回復や努力は並大抵のものではないでしょう。受け入れること自体は構わないと思います。

でも、芸能人をはじめ著名人の持つ影響力の大きさを加味すると、そんなに易々と受け入れてしまっていいものだろうか…?と思うのです。

娘たちに「あの曲を作った人も薬物犯罪を…」「バラエティー番組によく出ているあの人も…」と教えると驚いていました。
「たとえ1度でも薬物に出を出すと、人間ボロボロになるんだよ…」とどんなに教えても「でもあのタレント、あんなに元気にテレビに出ているじゃん」「少し経てばクスリから抜けられるんだよ」「だから少しぐらい……」なんて思う若者はいるはず。これは恐ろしいことです。


あまりにイメージを壊してしまったから、のりちゃんの復帰は難しいでしょう。厳しいけれど、それも彼女にとってはいいことかと。
“ママドル”“妻”“女”……。いくつもの酒井法子がいる…。でも世の中に“ママドル”も“妻”も“女”も山ほどいます。でも貴女の息子の母親は貴女だけ。


自分にとって1番大切なものは何か……?
頭を冷やして考え、その大切なもののために、新しい道を歩き直す強さはある。


だから、頑張ろう。頑張ることのできるのりちゃんだから。




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コメント

 事務所は大恥をかきましたからね…。
誰を選ぶかで心の中が見える。とテレフォン人生相談の先生がおっしゃっていました。
 華やかな芸能界に身をおきながら、彼女の心の中はどうだったのか。
 悲しいことです。

投稿: カステラ評論家 | 2009/08/13 21:36

すごい昔(失礼)の事を昨日のことのように細かく覚えておられるきのに驚きました。そしてかつて少しでも縁のあった友達に対する優しさ。
こういう話題になってしまうとマスコミの取り上げ方が片寄りがちなのでとても貴重な御意見です。

投稿: tosh | 2009/08/13 22:18

残念だよね。そんな風に関わり合いのあった人が薬物に手を出すとは・・・
あとは、全部正直に話して、罪を償ってほしいものです。
マスコミはまた、面白おかしく書き立て、報道しますが、
真実のみを報道してほしいです。
生い立ちや兄弟がどうのこうのと暴いても、本当の気持ちには触れられないでしょうから。
そして、申し訳ないですが、もう復帰しないでほしいです。星子さんと同じ考えです。
子供たちを守りたいから、好奇心から手を出さないように。芸能人は薬物に手を出しても普通に復帰しているのでは、本当の怖さが伝わりません。
禁断症状がなくなり、やめることができても、快感を脳が覚えていて、なにかの瞬間に思い出すそうです。
今日ワイドショーで特集してました。
一生、薬物の誘惑を戦いながら生活するそうです。
絶対、子供が手を出さないように、絶対に怖いものだと、守りたいものです。

投稿: カーコ | 2009/08/14 01:15

 ご無沙汰しております。
 乗りの離婚美・・・なんじゃこの変換は・・・のりのりコンビの雪之丞変化を観たのはまだ宝塚を観始める前でしたが、結構緊張して東京「宝塚」劇場に入った覚えがあります。
 14日は唯一の休演日でしたから、ファンクラブの催しということですね。私は部外者なので当日の様子は知り得ませんが、この日も含めて皆勤賞の男性もいたと言う噂もありましたが・・・
 ノリPの浪路はぎこちなさはありましたが、闇太郎やお初等がベテラン揃いだっただけに、かえって新鮮さが感じられた気もします。宝塚版での花總さんでさえかなり緊張しているようでしたから、初めての舞台では付いて行くのが精一杯だったのではないでしょうか。
 星子さん出演されていたんですね。当時はまだ宝塚は遠い存在だったのですが、今度ビデオを観るときは注目して探し出します。それにしても「女の子」役とは流石宝塚の娘役出身ですね。
 「サウンド~」は観ていませんが、新宿コマでのシンデレラも良かったと思います。ただ翌年から後を継いだ麻乃佳世さんがあまりにもぴったりだったので、ちょっと影が薄くなってしまったかな、と言う気もするのですが…

 薬物に関して言えば、やはり芸能界は先の力士の時に比べると甘いと言わざるを得ないでしょう。ただし法律違反と言う行為全体から見れば、処罰に関しては著しい不公平さが見られます。もっと重大な犯罪を犯していても、背後関係あるいは財力によって軽い判決となったり、不起訴となる場合すらあるのですから。マンネリと言われながらも水戸黄門がまだ続いている現実、やはり庶民は今の世にも黄門様が現れて欲しいと思っているのかもしれませんね。

投稿: 鉄人68号 | 2009/08/14 01:25

 ついでに沖縄のことをこちらに書いて申し訳ありませんが、沖縄の海が綺麗だと言うのは、内地の汚れた海を見慣れているので、相対的にそう思ってしまうことが大きいと思います。
 私が小笠原諸島を訪れたのは40年近く前、米国から返還されてまもない頃で、まだ定期航路のない時代でした。父島の二見港では船底はおろか、海底に伸びていく錨鎖まではっきりと見えるほど透き通った水でした。
 私が訪れたのはこの時だけですが、その後何年かして定期船も運行されるようになった頃、再び訪れた知人の話ではもう大分汚れてしまったということでした。勿論初めて父島に行った人にとっては信じられないくらい綺麗な海に見えたと思いますが、それ以前を知っている人にとっては汚れたという印象の方が強かったようです。
 沖縄は小笠原に比べれば桁違いに大勢の観光客が訪れていますから、当然父島の海よりも汚れていることでしょう。環境問題を研究している人の話では海洋博やリゾートホテルの建設等で大量の土砂が流れ込んでおり、その影響はその場所だけにとどまらないで広がっているそうです。珊瑚の死滅等も海水温の上昇も影響しているでしょうけれど、土砂の微小な粒子が遠くまで広がって流されていき、珊瑚の上の積もってしまうこともあるようです。
 沖縄自体が観光に頼らざるを得ない現実もありますが、環境と観光の共存、内地でも難しい問題かもしれませんね。

投稿: 鉄人68号 | 2009/08/14 01:47

皆さんコメントありがとうございました!

夫婦の供述の食い違いや、逃走を手助けした人が何名もいるらしやら…。私たちは別に知る必要もありませんが、ちゃんとすべて真実を話し、それ相応の償いをして欲しいです。まずはそこからだと…

鉄人68号さんが「雪の丞変化」をご覧になっているとは!一場面だけですが、「女の子」役で、「男の子」役ののり平さんの相手役をさせていただきました。のり平さん…毎回違うので…かなりドキドキ…

投稿: 桜木星子 | 2009/08/15 16:14

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